成長株投資の公理_その1

企業業績に基づいたモデルを完成させるために、決算データと向き合う毎日です。

先日も仲間から連絡があり、やる気メーターは常時レッドゾ-ン!

こんな株ニートのブログですが、ふと思い返すと、社会的にずいぶん立派な方々が読んでくださってることに気付きます。

ということで、たまには真面目に学術方面の話を含めて、取り組み中のグロース系ストラテジーについてまとめてみたいと思います。

 

 

さて、企業業績の分析については、押さえておくべき絶対の公理があります。

人間が重力から逃れて生きられないように、企業業績にも絶対の重力が働く。

それを一言でまとめると、

「企業業績は産業平均へ回帰する」

ということです。

 

これについては、図説すると分かりやすいと思うので書き起こしてみました。

IMG_4746[1]

(「どのくらいの期間で回帰するのか」というのは、会計学の一分野として研究されているので、目を通してみると面白いです。)

 

さて、成長株投資(トレード)をする場合には①か②の銘柄を捉える必要があります。

しかしながら、ポートフォリオのリバランスを疎かにしていると、②のゾーンの銘柄を選択したつもりがいつの間にかアルファが劣化していしまい、④のゾーン(高原~減退)に移行していたりします。

それでも相場が好調な時期は問題なく運用できるんですが、相場の急変時には大口のアンワインドにより、想像以上に売り込まれることになります。

(オニールの『空売り練習帖』をはじめ、グロース系ストラテジーで成功された方は、多くがこの局面に注意を払っています。)

 

先日の急落では、それを垣間見てポジションを閉じさせられたわけですが、この経験に学び、色々と対策を考えてみました。

で、その対策ですが、一つは「成長の加速度」をモデルに組み込むという手段です。

 

この「加速度」とは自分が考えだしたわけではなく、グロース系のリスクインデックスの組成手段として、すでに存在しているものです。

計算方法は実に分かりやすいもので、数期の業績変化率にウエイトを与えて表現します。

例えば、各期の数値がこんな感じだったとします。

 

  ・今期業績予想変化率=50%

  ・前期業績予想変化率=30%

 

このそれぞれの数値に、たとえば3:1という具合にウエイトを与えます。

すると、

 

  50%×3+30%×1=180%

 

という具合に加速度が加味されます。

前期の方向性が異なれば、

 

  50%×3+(-30%×1)=120%

 

という具合に、加速度の観点から変化率は緩和されます。

(リビジョンインパクトは後者の方が大きくなりますが、これは成長の加速度を測る指標なので、収益の方向性を観測しています。)

 

こういった観点をモデルへ組み込み定期的にリバランスしていれば、いつの間にかアルファが劣化していた銘柄(③~④のゾーンへ入った銘柄)をポートフォリオから取り除くことができるわけです。

少なくとも収益性の変化率を単体で用いた場合よりも、大口のアンワインドに先んじて動ける可能性は高まるはずです。

 

 

さて、なぜ大口のプレイヤーについて言及しているかというと、成長株をトレードする際には機関投資家の動きが強力な株価ドライバーとなるからです。

実務上で問題となるのは、成長株で組んだロングポジションと対称一致するショートポジションを組むことが難しい、という点。

 

たとえば、この図の青の範囲でロング・ショートポジションを組むとします。

IMG_4747[1]

見た目としては納得いくポジション組成ですが、このポジションは上下対称にはならないのです。

それは、ロング側とショート側のプレイヤーが異なるからです。

少し考えれば分かるんですが、「成長株を買い入れる投資信託」というのは山ほど見たことがありますが、「非成長株を売ります」「成長株でロングショートします」なんて投信見たこと無いですよね。

 

ではプレイヤーを一致させようと、④の緑のエリアを売ろうと考えてみます。

ここは機関投資家のアンワインド、オニールの言う空売りタイミングですね。

しかしながら、これは時間軸が異なります。

ロング側(①~②のエリア)が相場の上昇期に威力を発揮するのに対し、ショート側(④のエリア)は相場が崩れたタイミングで利を伸ばすものです。

というわけで、完全に挙動を一致させる(プレイヤーを一致させる)ポジションを組むのは、なかなか難しそう。

 

こういった理由から、アルファが劣化した③~④のエリアをロングポジションから外せるよう、「加速度」を計測して①~②の新鮮なアルファを手中に置けるよう考えてみました。

あくまで、「加速的に成長している企業は売られにくい」という仮説ありきですが。

まあ、ロングのみで運用できる信念と知見があるなら何も問題はありませんし、ド本命の成長株は下げ相場でも上昇を続けるものです。

専業トレーダーとして食うならやらねばと、なんとかひねり出した「加速度」でした。

長くなったので、今日はこの辺で。

4 Responses to “成長株投資の公理_その1”

  1. take より:

    miuraさん、こんばんは。今日の記事も示唆に富んだ内容でいつも勉強させて頂いています。miuraさんの記事を読んでいて、プロダクトライフサイクルの話を思い出しました。

    プロダクトライフサイクルは4つの段階(導入期・成長期・成熟期・衰退期)に分かれていますが、「企業利益は産業平均へ回帰する図」と似ているなと思いました。

    「減退期」を「製品の衰退期」と捉えると、例えば成長期のメーカーで主力製品が予定販売台数に届かないなどがあった場合、稼ぎ頭が収益を上げられないとなると減退期(衰退期)に突入中なのでは?。色々と想像が膨らみました

    加速度という概念を自分の中に落として、月次や販売状況などを見て、その企業を保有し続けるのか否か意識してみたいです。

    ツイッターで「丸亀製麺」の呟きがあったので、サガミチェーンとのスプレッドを持ってみました。サガミのチャートの形を見て保有をどこまでするか考え中です。

    長々と失礼しました、また書き込みさせてください。

    • miura より:

      こんばんは!

      プロダクトライフサイクルでググってみましたが、まさにこれですね。
      あるいは、「衰退」していなくとも、競合他社が現れることで産業平均が底上げする、というシナリオもありそうですよね。

      加速度に関してはtakeさんのおっしゃるように、自分の保有している成長株の成長率が鈍化していないか確認するだけでも、十分結果に繋がるように思います。
      自分も、機械的なスクリーニングは軽めにするだけ(上振れ下振れの判定と、ファクターでのランキングのみ)で、あとは上からすべて手作業で調べてます。
      この辺の加速度に関しては、林則行氏の「株の公式」でも言及されていて、驚きました。

      ツイッターの丸亀製麺の話は、半ば冗談のようなものだと思ってください笑
      ただ、小売りが爆発的に成長を遂げるためには多店舗展開が必須になるはずなので、出店数のファクターは間違いなく重要だということと(この辺の考えをtakeさんに説くなんて恐れ多いですが笑)、トリドールは国内の出店数が飽和してきたことにより③の「高原」に位置してると思いますが、「海外の出店を加速中」と四季報にあるのが気になりますね。
      個人的には機関の空売りとチャートを見合わせて、色々と想像してみるようにしています。
      http://karauri.net/3397/

      好業績株に関しては、四季報の「剥落」というキーワードが強烈だなと最近感じています。
      どんなに直近の業績が良くても、将来の価値を容赦なく織り込むんだなと感じます。。

  2. take より:

    こんばんは、丁寧なご返信をありがとうございました。ブログに書くボリュームの内容をコメントで残して頂いて恐れ多いです苦笑。

    miuraさん加速度を手で計算されているのですね!、流石です。その細かい作業を皆が嫌がるからより強くエッジになりますね。

    私は軽いスクリーニングのつもりで、セクターの代表となる企業の決算を確認(7月でしたら小売、先ずは業界の傾向を確認。ここで悪決算が出るならそのセクターは一旦待つ)。

    その代表企業よりも良決算の同セクター小型株を選ぶなどしています。加速度という概念ではないのですが、基準となる企業よりも少なくとも良いものでポジションを取ります。チャートが上抜けなら厚めに資金を張ります。

    しかし、数年もロングするわけではないのでmiuraさんの概念を是非意識していきたいです。

    トリドールの出店は、規模の経済を考えての経営戦略だと感じました。海外の出店ですと、7630壱番屋が思い浮かびます。売りでトリドールを持っているので、あまり長居しないように気を付けます苦笑。

    またブログに訪問させてください。失礼します。

    • miura より:

      返信遅くなってしまいました。
      加速度は、エクセルシートで確認できる状態になっていました。
      実際に発注をかける前は、その加速度の原因を探して裏をとっておくので、ポジションを組むまでにかなり時間がかかってしまう現状です。

      セクターの代表をチェックするというのはいいですね。
      キーになる企業を押さえておくと、相場と経済のテーマ性を体に落とし込めますもんね。

      自分も同じように、インパクトの大きい企業をチェックし、チャートを見てから判断しています。
      最近は好決算がほんとに多いので、むしろショートポジションを組むのに苦労しています。。

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