「システムトレード」とは何か ~その1~
おれシステムトレーダーです!よろしく!
通常、飲み会やコンパでこんな自己紹介をしてしまえば、聞かなかった事として流され、冷ややかな視線を浴びるのがオチである。
この世の中での「システムトレード」の認知など、目に見えないほどに小さい。
一般的には、株式やFXもしくは先物取引などの金融商品を、システマチックに執行するものとして「システムトレード」は語られている。
その際に付加されるイメージは、「プログラミング」、「自動売買」、「メタトレーダー」、「統計」、「確率」、その辺りだろうか。
そしてその対概念として、「裁量トレード」というものがあるわけだ。
金融商品への投資に興味のあるサラリーマンや主婦にとって、この「裁量トレード」というものが一般的にいう「トレード」なのだろう。
まあ、それはそれで良い。
トレードの世界の外にいる人間の認知がどうだろうと、今は問題じゃない。
しかしながら、トレードの世界の中においてさえも、この「システムトレード」と「裁量トレード」の概念がはっきりとした定義がされないのである。
それはおそらく、トレードの世界に入ってきた方にとって、より要領よく金が稼げればいい、という目的ベースの思考があるため、その手段である「システムトレード」・「裁量トレード」の概念はとりあえず棚にあげておこうとするわけだ。
目的ベースの思考は何においても重要なことだと思うが、システムトレーダーにとって「自分が何者であるか」を認識していないのは、後々のシステムに影響する問題である。
考えた事の無い方にとって、それは大した問題にならないと思いがちだが、それは運用の死活問題に関わってくる部分だろう。
ではシステムトレーダーとは何か?
既存の「システムトレーダー」に言わせればこうだろう。
バックテストを行うことで統計的な裏付けをしている。
複数の「システム」と銘柄の分散によってリスクを低減している。
マネーマネジメントも定量的に行い、ギャンブル的要素を排除している。
我々は勝つべくして勝つことができるのである。
と。
そのような論法で自らを肯定するシステムトレーダーは、ちょっと注意しなければならない。
件の「システムトレーダー」が注意する点は2つ。
・本当にそれが「統計学」に基づいた分析なのか。
・「システム」の定義が明確か
勤勉なシステムトレーダーは、前者をコツコツ学んでいると思う。
それでも、多くのシステムトレーダーにとって、システムトレードは「検証ボタンで一発バックテスト!」なのであって、そこにはデータのクレンジング、値の正規化、異常値の処理といった作業を行わない。
“Garbage in, garbage out”という言葉があるように、統計解析というのはかなり繊細な処理である。データの扱いが少しおかしいだけで、結果が全く変わってしまうこともしばしば。
「起こりえない」現象が年に1度や2度起きる金融の世界。
異常値の処理を問題にしていない統計解析はどれほどの信頼性があるか。
その辺はまた、実践的に理解できるコンテンツを作っていこうと思う。
さて、それでは後者の「「システム」の定義が明確か」であるが・・・
(つづく)
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